シアノバクテリア


シアノバクテリアは,昔は「藍藻」とよばれ,藍色をした藻のなかまです.普通に池や水たまりなどにみられる微生物です.シアノバクテリアは,氷河の上にも繁殖し,代表的な雪氷藻類のひとつです.どこにでもいるこのシアノバクテリア,しかしその正体はとても不思議な生物です.

シアノバクテリアは藻類の仲間といわれてきましたが,真核生物の他の藻類とはちがって,細胞内に核がない原核生物(バクテリア)です.バクテリアの仲間といっても,他のバクテリアとちがって葉緑素(クロロフィル)をもち光合成をすることができます.

シアノバクテリアは,数十億年前から地球上に生息していたことでも知られます.太古の地球では海洋の浅瀬でこのシアノバクテリアが現在の珊瑚礁のようなコロニーをつくり,大繁殖していたといわれています.ストロマトライトとよばれる化石がそれです.シアノバクテリアは光合成によって少しずつ酸素を大気に排出し,現在の大気を作り上げたと考えられています.


糸状のシアノバクテリア

さらに,地球外にもシアノバクテリアが生息していると考える人もいました.火星から飛んできた隕石の中にこのシアノバクテリアの化石のようなよくにた構造がみつかったのです.残念ながら,現在はそれはシアノバクテリアではなく物理的作用でできたものとと考えられています.


氷河のシアノバクテリアが作るクリオコナイト粒

氷河上のシアノバクテリアは,氷の上にできる水たまりクリオコナイトホールの底で主に繁殖し,クリオコナイト粒という小さな黒い団子をつくっています.このクリオコナイト粒は,糸状のシアノバクテリアが小さな砂粒や有機物を絡ませながら成長しています.大きさはちいさいですが,ストロマトライトの構造そっくりです.

なぜ,氷河の上にシアノバクテリアが大量にいるのでしょうか?シアノバクテリアの現在の地球上の分布をみると,温泉や強塩湖など,普通の生物が生きていけないような極限環境で優占していることがわかります.氷河もたしかに低温の極限環境です.極限環境というのは,現在からみれば異常な環境ですが,太古の地球の環境をあらわしているとも考えられます.最近,かつて全地球が凍結したというスノーボールアース仮説がよく話題になりますが,もしかしたらそんな時からシアノバクテリアは氷の上で繁殖してきたのかもしれません.氷河の上のシアノバクテリアには,地球環境の長い歴史の理解のためのヒントが隠されている可能性があります.


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