珪藻とは?

Stephanopyxis palmeriana

現生標本

 珪藻は分類学的には不等毛植物門(または黄色植物門)珪藻綱に分類される単細胞の藻類です.細胞の1つ1つは珪酸質の細胞壁で覆われており,一般に上下2枚の殻が重なって弁当箱のような構造をしていると言われます.細胞の大きさは数マイクロメーターから数百マイクロメーターです.珪藻は,殻の形や構造の対称性によって円形や多角形を呈す中心珪藻と細長い羽状珪藻とに大きく2つのグループに分けられます.珪藻殻の装飾はたいてい複雑で,これらの構造や模様の違いによって分類するのが一般的です.種数は化石種・現生種を含めて約2万種といわれています.殻の装飾模様はたいへん美しく,このミクロの造形美が観察者を魅了します.

 原始的な藻類は,約30億年前から地球に存在していたと考えられていますが,珪藻の最古の化石はジュラ紀(約1億8千年前)のもので,珪藻は藻類の中では比較的新しい時代に登場したと考えられています.その後,さまざまな種が出現・絶滅を繰り返してきました.そのため,地層中に保存されている珪藻化石を分析することによって,地層の地質年代を推定することができます.また,珪藻は水中や湿ったところに,浮遊して,あるいは何かに付着して広く生育し,生育場所の温度・塩分濃度・pH・BODなどに応じて異なる種が分布しています.そのため,どのような珪藻がいるかを調査することによって,逆にその生育場所の環境を知ることもできます.同様に,珪藻化石から地層が堆積した当時の環境を知ることができます.

 珪藻は,光合成によって二酸化炭素を消費し酸素を生産しているので,大気中の二酸化炭素の増加を抑制し,地球温暖化を防ぐ働きをしています.また,食物連鎖の底辺を構成する第一次生産者として,地球生態系において重要な役割を担っています.

 

参考書:真山茂樹(1999)珪藻綱.千原光雄(編)藻類の多様性と系統.207-214.裳華房.

 

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2001年4月 芳賀正和

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