フクロムシ

フクロムシな日々
(このページは、決してフクロムシを学術的に扱ったものではありません。)
                              
フクロムシは、分類学上、甲殻綱蔓脚亜綱根頭目に分類されていて、潮間帯に一般的に分布する
ふじつぼ類(蔓脚類)に近い生物です。はっきり言って、メジャーな生物ではありません。潮間帯で、おなかに黄色い変なものをくっつけているカニを見たことはないですか。そうです、それがフクロムシです。こいつらは、同じ甲殻類のカニとか、ヤドカリ、さらには、他の蔓脚類なんかに寄生して養分を吸い取って生活しています。まあ、言ってみれば"カニのヒモ"なわけで、個人的にはかなり羨ましい、魅力的な生活様式を取っているのです(タイトルに,フクロムシな日々と書いてありますが,筆者は,決して,誰かのヒモ生活をしているわけではありません!)。彼ら(フクロムシ)の魅力的な生活様式のせいもあってか、私は、フクロムシの研究を始めてまだ日が浅いのですが、早くもはまってしまい、カニを見ればフクロムシがついていないかを確認してしまうという"急性フクロムシ中毒"になってしまいました。今のところ、これに対する処方箋はありません。症状は加速度的に進行中です。

多くのフクロムシが、カニやヤドカリの腹節にくっついていますが、外側に出ている部分はexternaとよばれ、繁殖のための器官です。フクロムシの本体はinternaと呼ばれ、これが木の根っこのように宿主の体内に拡がり、養分を吸い取ります。その様相は、かなりグロテスクです。フクロムシにとり憑かれたカニは、形態の変化など、いろいろな被害をこうむります。例えば、雄のカニにフクロムシがくっついたときには、カニは形態面でメス化し、フクロムシをまるで、自分の卵であるかのように大事に扱うようになったりします。影響力はものすごいです。寄生された側にとっては迷惑以外の何者でもありません。でも、フクロムシも悪気があって寄生しているわけではないので、カニのファンのみなさん、どうか許してやってください。また、フクロムシは宿主内にあるinternaが生きている限り、いくらexternaを切り取っても死にません。Externaは再び生えてきます。まるでキノコのようです。形は変化させるし、いくら切っても死なないし、こんなのに寄生されたらもう終わりですね。ああ恐ろしい。まさに恐いもの無し、無敵のフクロムシ君ですが、世の中には、上には上がいて、ヤドカリに寄生するフクロムシに寄生する等脚類(甲殻類の一種でフナムシ等の仲間)というのもいます。でも、もしかしたら、ヤドカリに寄生するフクロムシに寄生する等脚類に寄生する生物もいるかもしれません。ここまでくるともう何でもありかもしれませんが…。

あと、ほんの少し、フクロムシについて触れたいと思います。フクロムシは、雌雄異体ですが、普段良く目にするのは
全てメスです。つまり、externaを発達させるのはメスだけと言う事です。オスは何をしているのかというと、キプリスという幼生段階を経て、精細胞に分化した後で生涯を終えてしまいます(メスはキプリス後、宿主に付着し、interna, externaを発達させる)。メスは何年も生きるのに対し、オスは、おそらく、長くてほんの数ヶ月の寿命です。オスは、種の存続と繁栄の為の道具に過ぎないとでもいうのでしょうか。オスの私としては何ともいえない気持ちです。

ふつつかなフクロムシと私ですが、どうぞ末永くよろしくお願いします。

2001年4月 土田浩平

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