ハナカゴ(Verrucomorpha)とは?

”ハナカゴ”という生き物がいることを知っている人は,いったいどのくらいいるのでしょうか?
名前だけでも,聞いたことのある人はいるのでしょうか?

”ハナカゴ”は,主に200mより深い深海に棲んでいるフジツボの仲間(蔓脚類;Cirripediaです.
(潮間帯に棲む種類も3種いますが,日本からは見つかっていません.)
殻の色は,ほとんどのものが白やクリーム色で,生クリームのデコレーションのような形をしています.
大きさも数mmから1p程度で,磯で見かけるフジツボとは大きく様子が違います.
しかし,このハナカゴが他のフジツボ類と別にされるのには,もっと大きな理由があります.
ハナカゴは,フジツボの仲間のなかでは,唯一,左右が非対称な殻を持つグループなのです.
これに伴って,だいぶ変わった殻(特に動かない方の殻)の構造を持つことが知られています.
また,蔓脚(フジツボの仲間が餌を採るために使う脚)やノープリウス幼生にも
ハナカゴ特有の形質が見られることが知られています.

ハナカゴには,現在,ハナカゴ(Verruca)科・Proverruca科・Neoverruca科の3科が知られています.
このうち,日本から最も多く採集されているのは,深海熱水噴出孔にのみ生息が確認されている
Neoverruca科に属するハナカゴです.

ちなみに,"Verruca"とは,”イボ”という意味を持つそうです.
”Verruca”に”ハナカゴ”というかわいらしい和名を与えてくださった先人に,感謝します.

2001年4月 渡辺裕美

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