ガイア


ガイアとは,地球環境はひとつの生き物のように自己調整機能をもっている,というイギリスのラブロック博士によって考えだされた大仮説です.地球環境は太陽光や地熱など与えられた物理化学的条件によって決まり,地球上の生物はその決まった環境に適応して進化してきたと考えられます.しかし実際には生物の存在自身も地球環境に影響をあたえ,現在の地球環境は,環境と生物の複雑な相互作用の結果であると考えられます.ガイア仮説は,さらにその相互作用が,とくに生物の振る舞いによって地球環境を安定させる方向に働くというものです.

どうして小さなひとつひとつの生物が,巨大な地球全体の環境を安定の方向に持っていくことができるのだろうか.ガイア仮説に関しては,賛否両論激しい議論が繰り返され,正しいかどうかの結論はでていません.しかし,非常に興味深い地球のひとつの見方だと思います.

ガイア仮説をモデル化した代表的例がデイジー(ひなぎく)ワールドです.簡単にいえば地球が暖まれば白い色のひなぎくの花が増えて,太陽光を宇宙へ反射して地球を冷やし,逆に地球が冷えれば黒い色の花が増えて,地球をあたためるという,ひなぎくの花が色を変えることによって,地球の気温を安定させるというモデルです.このひなぎくのほかにも,海洋プランクトンが雲核の形成により雲の量を調整し地球の気温を安定させるといったモデルもあります.このように,全く想像もつかなかったところで,生物が地球環境に作用している可能性があるわけです.

さて,高い反射率をもつ氷河も地球の気候に重要な役割を果たしています.我々の研究では,氷河上の微生物の繁殖が氷河の融解を促進していることが明らかになっています.氷河の面積が生物によってコントロールされているとすれば,もしかしたらこれも生物が地球環境に影響を与えるひとつの重要なプロセスかも知れません.ガイア仮説を支持するかどうかはわかりませんが,氷河の上に暮らす小さな雪氷生物が地球環境にも大きな影響を与えている可能性があるのです.


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