アイスコア


 氷河には毎年毎年雪が解けないで降り積もっていきます.氷河の深いところには数百年から数千年前に降った雪が氷となって残されているのです.特殊なドリルをつかうと,この氷河の古い氷を掘り出すことができます.この掘り出した円柱状の氷をアイスコアとよびます.アイスコアを化学,物理分析をすることによって,昔の気候や環境を知ることができます.南極やグリーンランドで掘削された数千メートルの深さのアイスコアからは,氷期と間氷期を繰り返した過去数十万年の地球の歴史が詳細に明らかになりました.

 アイスコアには毎年表面で繁殖した雪氷微生物も氷の中に冷凍で保存されています.この微生物を分析することによって,昔,氷河の表面でどんな種類の生物がどれくらい繁殖していたのかを知ることができます.また,その生物の種類や量から,当時の氷河の環境条件をしることができます.アイスコアの雪氷微生物から,過去の地球環境を知ることができるかもしれないのです.現在,ヒマラヤ,中国,ロシアなどで掘削されたアイスコアのサンプルについて,顕微鏡分析から,DNA分析,炭素安定同位体分析など,様々な生物分析をおこなっています.これらの分析は,まだ世界でもほとんど行われていない,全く新しい方法です.

アイスコアに保存されている過去の情報

ロシア,アルタイ山脈の氷河での掘削(2002年)

アイスドリルの先端.ドリルの先には氷にために特別に設計された三つの刃がついてる.

アイスドリルで掘り出したアイスコア(デボン島,カナダ)

アルタイ,ベルーハ氷河から掘り出したアイスコア.深さ約170mのもので,氷河の底の岩盤に近い.岩盤由来の小石が入っているのが見える.

アイスドリルの掘削動画.工場でのテストでのもの.

参考文献

  • Yoshimura, Y., Kohshima, S., Takeuchi, N., Seko, K., and Fujita, K. (2000) Himalayan ice core dating with snow algae, Journal of glaciology, 46, 335-340.

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